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桜ノ一族。
それが、俺が仕える事になる一族の名。
その本家の一人娘、神谷璃桜(こうや りお)。
俺が仕える事になる桜ノ娘。
あの日。
お前と契約を交わした時、俺は思った。
“これで、俺はお前のモノ、お前は俺のモノになった”。
形だけの渇いた契約。
形だけの渇いた関係。
心が手に入らなくても、形だけが手元にあるだけで良い。
それで良いと、思っていた。
今なら言える。
俺は、心の何処かで、お前の心も欲していた。
俺をその目に映して欲しかったのだ、と。
───それに気が付いた時、何かが壊れていくような気がした。
繋ぎ止めているこの手が、離れていく様な気がしたんだ。
10年の月日を待ち侘びて、漸く会えたから。
今度は俺が、お前を守る番。
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