資格の時代

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「うぇーい漢字検定二級、受かりましたぁ~!」 見た者全員をイラつかせんとばかりのドヤ顔で叫ぶのは土屋タケル。 担任教師から「結果は知られたくない人も居るからあまり教えるもんじゃない」と言われたのを秒速で忘れているようだ。 いや、はなから聞いていないのかもしれない。 それか3歩歩くと忘れる体質なのかもしれない。 そうやってため息を吐くのはタケルの友人である…いや、お世話係のおれ杉カイト。 漢検なんか俺は受けていない。 別に、苦手とかそういうのではなく、ありきたりな資格を持っていた所でなんににもならない事が予測されるためである。 別に苦手とかそういうのではない。 クラスメイトは受験や就職に有利だからと我先に資格を受け始めたが、俺自身はあまり乗り気になれなかった。 別に勉強が苦手とかそういうのではない。 ただ、簿記をやろうが数学検定をやろうが面白さ……そう!興味が無いのだ。 あんなちょっと勉強が出来る小学生でもとれそうな物に、俺の感性は満たされない。 しかし、親教師から 「資格の欄が白紙だけどどうするの」発言が絶えない事だけは不快である。 たかだか5×10cm程度の紙の白紙に夢中になれるお子ちゃまはさぞかし視野が狭いことだろう。 俺はもっとこう… 俺らしい事が勉強したい。
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