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「1分けいk…」
「3種のうち、
ひとつは白ぶどうサワー。もう一つはコーラ。
違うか?」
言い切る前に俺が2種答えると、タケルはみるみるうちに表情を変える。
顔を見れば分かる。
(何故こいつ…口に含んで0.5秒で分かるんだ)
そんな絶望混じりの驚愕と、若干のドン引きが混じって、タケルの眉は八の字に歪んで口の端は両側とも下がっている。
「空いた口、塞がって無いぞ。
で、どうなんだタケル。合ってるだろ?」
あくまでも俺は冷静に、表情を変えない。気分はまるで名探偵。
「……ッ。ご名答。いや、何…。
2つ、答えるまでに一分かかるとか、お前も、落ちぶれた、と、ガッカリしてて…ねぇ…。」
声の震えからタケルが焦っているのは明白だった。
しかし、ふっと下を向いたと思うと、彼は声を落ち着け言い放った。
「まっ!残り一つは甘いもんじゃねぇ。
俺の最終兵器。舐めてかかると恥を知るぞ。」
タケルは顔を上げてニヤリと笑う。
そう。
残り一つ。わからないのだ。
この店の白ぶどうサワーは独特で、酸味が強く鼻に抜ける香りに鋭さを見つけられれば判断は簡単だ。舌の側面に感じた酸味は白ぶどうサワー特有の後味だ。
コーラなんか、素人でも香りを嗅げば分かるはず。口に含んだ炭酸の気泡の大きさで確定診断。
こんな訳で2つは余裕だが、残りは全く検討がつかない。
ただ、不味い。
言えるのはこれだけだ。
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