3.ドリンク混ぜのプロ

2/3

0人が本棚に入れています
本棚に追加
/12ページ
「1分けいk…」 「3種のうち、 ひとつは白ぶどうサワー。もう一つはコーラ。 違うか?」 言い切る前に俺が2種答えると、タケルはみるみるうちに表情を変える。 顔を見れば分かる。 (何故こいつ…口に含んで0.5秒で分かるんだ) そんな絶望混じりの驚愕と、若干のドン引きが混じって、タケルの眉は八の字に歪んで口の端は両側とも下がっている。 「空いた口、塞がって無いぞ。 で、どうなんだタケル。合ってるだろ?」 あくまでも俺は冷静に、表情を変えない。気分はまるで名探偵。 「……ッ。ご名答。いや、何…。 2つ、答えるまでに一分かかるとか、お前も、落ちぶれた、と、ガッカリしてて…ねぇ…。」 声の震えからタケルが焦っているのは明白だった。 しかし、ふっと下を向いたと思うと、彼は声を落ち着け言い放った。 「まっ!残り一つは甘いもんじゃねぇ。 俺の最終兵器。舐めてかかると恥を知るぞ。」 タケルは顔を上げてニヤリと笑う。 そう。 残り一つ。わからないのだ。 この店の白ぶどうサワーは独特で、酸味が強く鼻に抜ける香りに鋭さを見つけられれば判断は簡単だ。舌の側面に感じた酸味は白ぶどうサワー特有の後味だ。 コーラなんか、素人でも香りを嗅げば分かるはず。口に含んだ炭酸の気泡の大きさで確定診断。 こんな訳で2つは余裕だが、残りは全く検討がつかない。 ただ、不味い。 言えるのはこれだけだ。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加