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4.チェックメイト
ごくごく一般的なドリンクバーがそこにあった。
特徴的な飲み物は一つもない。
コーヒー
違う。コーヒーレベルの苦味はない。むしろ口に含んで微かにピリピリした感覚があった。あれは苦味ではない。
麦茶、ウーロン茶
違う。お茶の命は香りと澄んだ後味。味も匂いも澄んだ印象はない。むしろこう…濁っていた
そうだ。あの未確認生物が生息していたのは何だったんだ!?
ふわふわ浮いていたものの、硬い食感として感じなかった。白ぶどうサワーの果肉ではない。
一体何……!?
オレンジ紅茶ココアカフェラテ白桃ジュース…
様々な文字列を視界に入れ、頭に流れ込んでは消える。
だめだ、焦りから思考回路が断線している。
「もう一度あの泥水の味を…」
ふらつきながら席へ戻ると、タケルが頬杖をついてお冷を飲んでいた。
「ぷっはぁ……そろそろ三十秒だけど、どうする?
チョコレートにバイバイする?
そらカイトちゃん。チョコレートパフェにバイバイは???」
イラつく。イラつく。
変わらず机上のメニュー表にいる
【ダイナミックチョコレートパフェ】
ぼんやりと視線を移すと俺はある重大なミスに気づいた。そうか、だから、分かるはず無かったんだ。
俺はもう一度ドリンクコーナーへ走った。
正確にはドリンクコーナーの隣へ。
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