プロローグ

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「週刊文秋の記者は、選りすぐりのエリートをそれこそ会社内で戦わせるように取材をさせて新人の育成にも力を入れている……下手に崩れる体勢では無い事は周知の事実でしょ? だからって手をこまねいている場合でも無いけど『上』がそれを許してくれない……どこもそう……」 「上」要するに会社の重役に当たる人物だ。 「良い記事を書け」の一点張りで、対抗するシステムが出来てない以上変化は有り得ない。 僕もそんな会社に嫌気が射したのもあった。 「会社でなくて、個人なら知っているけど……」と言うと桐谷さんは、言葉を詰まらせた。 こういう場合、僕は先輩から教えられた言葉を思い出して考える事にしている。格言だ。 【言葉を詰まらせる時は、相手の身になって考えれば活路が開ける場合がある。思慮推察だ】 「……桐谷さん。僕は桐谷さんの邪魔はしません。僕は、純粋に事の真実を知りたいだけなんです。 本当の事を突き止める術があるなら、僕に教えて下さいっ!」思慮し推察した言葉だ。
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