プロローグ

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桐谷さんは、女性らしいスーツを身に纏いテレビ等にも多少の出演経験のあるベテラン記者。 くの一ではないが、女性特有の色香を使い他社に先駆けてスクープを出した事もあるキャリアウーマンと言っても過言ではない。 (「すっぱ抜く」の語源に「スパイ」がある。忍者は正にジャパニーズ・スパイなのである) 身だしなみから挙動、礼儀、所作を心得ておりあらゆる場所でオールマイティーに取材出来る記者としてのスキルは、他者(ひと)より頭一つ抜けている。 なんで、僕なんかに?と疑問に持つ程だった。 僕が告げられた「それ」は「リストラ」だ。 正式には「リストラクチュアリング」と言い日本語に訳すと「社内再編成」になる英語。 (「リストラ」が常識的に使われるので、逆に知らない人が多いと思われるので、念のため) 会社も会社で、僕のリストラに向けた布石は確実に打たれていたが、目の前の締め切りと業務の忙しさと、時間の無さが僕を盲目にした。
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