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放課後、鞄に教材を詰めようとして、手が止まった。
机の中に、見慣れない細長い箱があった。
何故こんなものが入っているのだと思うも、今日が何の日か気付いて、ハッとした。だが、こんなものを貰うような心当たりがない。
驚きを隠せないが、僕の机にあったということは、僕のものなのだろう。
素早くコートのポケットに箱を忍ばせると、何事もなかったかのように教室を出る。一度正面玄関を出て、部室棟の裏へ回る。そうするとどこからも見えないことを僕は知っていた。
ポケットの中の箱を取り出し、包装紙を剥ぎ取る。手紙も何もなく、誰からのものか全くわからない。
食べればわかるのかと、蓋を開けると、大嫌いな臭いがした。
ウエエエェ、オエエエ、と盛大にむせる。胃酸が喉元まで駆け上がってくる感じがした。
涙目になりながら即座に蓋を締め、鞄の中に乱暴に押し込んだ。
「何の罰ゲームだよ、マジで!」
僕は文句を言いながら歩き出す。
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