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翌日。
学校に行きたくないな、と思った。
カズマと顔を合わせるのも、
ミユを見つめるカズマを見るのも、
今日ほど嫌だと思ったことがなかった。
頭痛がした。
けれど、
一緒に帰った時の先輩の様子を、休み時間ごとに教えに来るミユに、私はしっかり笑顔でいられた。
学食の美味しくないうどんは、今日は半分も食べられなかった。
味なんか全くしなくて、さらにいつもより美味しくないと感じた。
お昼ご飯の後は、午後の授業が始まるその直前まで、ミユと二人でお喋りしていた。
頭痛は治まらなかったけど、ミユが嬉しそうだったから私はそれだけでいいと思っていた。
「ん?どうしたのかな?」
「えっ?何が?」
ミユがふと教室の中を見たまま固まった。
その視線を辿ると、教室から、廊下で立ち話をしている私たちの方を無表情でじっと見ているカズマと目が合った。
「タニくん、機嫌悪そうじゃない?」
言われればそうかも知れないけど、私は昨日のことがあるからまともに顔なんか見れなくてすぐにその視線から目を反らした。
「そ?いっつもあんなんじゃん。感情読めないのは」
「そうかもね……あ、こっち来るみたい」
「え、何で?」
「知らないよ」
踵を踏んで履いている上履きが私とミユの間に割り込んできた。
「どうしたの?」
「杉崎じゃない。夏目、」
「わ、私?な、に……?」
「こっち来い」
「はぁ?ちょっと、何で?」
カズマにがっしりと掴まれた手首。
振るい払おうと思えば出来たのかもしれない。
ズンズンと私を引っ張って歩くカズマと私を、廊下ですれ違う友達や同級生が冷やかすのを、
「うっせーよ!見んじゃねー!」
カズマは一喝しながらも止まることなく進んでいく。
「ねぇって!どこ行くつもり?恥ずかしいんだけど!」
もつれそうになりながらどうにか後ろを歩く私に、
「……バーカ」
カズマはそう言うと、ピタッと立ち止まった。
「はぁ?どうしてバカって言われなきゃ…」
「着いた」
その言葉と同時に鼻につく消毒液のニオイ。
「先生ーっ!病人1名連れて来たー」
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