指先に微熱

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「そういえばさ、聞いた?」 「え、何なに?」 学食の、あまり美味しくないで有名なワカメうどんをこぼさないように慎重に運ぶ私に、 これまた美味しくないで有名なミートスパゲティをトレイに乗せて席を探すミユが、 「タニくん、また告白されたって」 小声で話しかけてきた内容に、手に持ったトレイが少し震え、うどんの表面が波を立てた。 「ふーん」 「1年の時は5回だっけ?2年の6月でもう2回って。凄くない?」 「そうだね」 「あ、あそこ空くよ!行こ?」 小学生の頃からの、腐れ縁の谷崎一真は、 モテる。 2年でも同じクラスの私なんかよりも、隣のクラスになってしまったミユの方がそういう情報が早いのはどうしてだろう。 見つけた席に並んで座り、切ったばかりの髪がパラパラと落ちてこないように両耳の上を黄色いピンで留めた。 ミユも、食べるのに邪魔だと言って、ダークブラウンのストレートの髪をシュシュで一つに結んだ。 「あんなヤツのどっこがいいんだか」 パキっと割った割り箸は、相変わらず酷いササクレで、指に当たらないようにしながらうどんを拾い上げ、これでもかと息を吹きかけてうどんを冷ました。 「可愛いじゃん」 ミユは、顔に似合わない大きな口で丸めたスパゲティをパクッと頬張った。 「可愛いかねぇ……あのカズ……タニくんがねぇ」 気を緩めると出てしまう。 昔からのアイツの呼び方が………
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