狩り

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「行ってきます。」 俺は今玄関に立っている。そして目の前には俺の嫁が立っている。 嫁は会社に向かう俺をいつも玄関先で見送ってくれるいい嫁さんだ。出掛ける前にはいつも行ってきますのキスをしているので俺は嫁の頬に軽いキスをする。 「行ってらっしゃいあなた。今日はお肉が届いたからご馳走よ。」 そして嫁も俺の頬に軽いキスを返す。 こうしていつものように俺は会社へと出発する。 生きていくためには働かなくてはならないし、嫁と娘を養うためにもだ。 俺の仕事といえば狩りだ。狩りなんて今の時代では珍しいものと思われるだろう…… といっても、俺は山の中で鉄砲をもって猪だの野うさぎなどを狙っているわけではない。 じゃあどこでするかというと、俺は街で狩りをしている。街の方が獲物は多いし、今の世の中は山よりも街の方が危険だからな…… 電車に乗って三駅揺れてから目的の駅で降りる。そこから歩くこと10分、S社という会社に着いた。 いつものようにタイムカードを通し、服を着替えて狩りの準備をする……具体的に何をするかというと俺の役割は追い込み係だ。仲間と共に大きな声を出したり、威圧することで獲物を誘導して捕まえやすくする役割だ。 朝礼が始まり、狩りの場所や獲物の詳細な説明と必要な道具の支給が行われ、それが終わると蜘蛛の子を散らすように解散し、それぞれが自分の狩場へと向かっていく。
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