狩り

3/4
前へ
/4ページ
次へ
俺も自分の持ち場へと向かうことにする。どうやら朝の説明によると今日はこの会社の近くにある広い公園のようだ。 歩いて二分……公園に着いた俺は同僚が公園の広場で立っているのを見つける。手には支給されたメガホンと獲物をビビらせるためのデザインをしたプレートを持っていた。そいつ以外にも同じ格好をしているやつらが二三十人ほどいた。皆同じ職場の仲間で、獲物を大勢で追い込む。やはり狩りは昔も今も集団戦だ。 リーダーの掛け声で狩りは始まり、時々リーダーが「そうだ!そうだ!」とか「反対だ!」と言うので同じ事を言ったり、「うぉぉぉぉ!!」と声を出しながらプレートを振り回しながら歩くだけでいいから楽な仕事だ。 リーダーの合図で狩りが無事に終わったことが知らされた。今日の獲物はかなり大物で、狙える獲物はもう居ないのでこれで仕事は終わりらしい。 会社に戻り、今日の獲物に関する報告書に、『大声を上げて威嚇した』などと書いておいた。書いている事が少ないと思われるが、偉いポジションだと獲物についての詳細な説明が必要だが、俺みたいな下っ端これぐらいでいい。大して書く事も無いしな。そして書き上げた報告書を上司に提出すると上司から別の班が狩った獲物の話を聞かされた。向こう向こうで大変だったなと感心しながらタイムカードを切ってから会社を出る。
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加