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「何よ?」
片眉を上げて睨みつけると、口の中でもごもごと何かを言う。
「え、だって、うわー、全然雰囲気ない…」
がっくりと一度肩を落としてから、彼は一つ息をついた。
そうして、顔を上げた時には、いつもの顔になっていた。
──私が好きな彼の顔に。
ふわりと彼は笑う。
「────好きだよ」
その言葉に、私ははにかむようにして、笑った。
彼もまた、照れたように笑った。
そして。
二度目の口づけを交わす。
それは、甘くも苦くもない、ベリーのような味。
「…あ、チョコ」
口づけの合間に、彼はふとつぶやいた。
「後で食べよ?」
「えー?」
「普通に食べたい」
「そんなぁ、この前みたいに…」
私の表情を見た彼は黙る。
「…ご、ごめんなさい」
『苦 v.s 甘』 fin.
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