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「そう。ビターのにがーい奴。俺、チョコは甘いのじゃないと食べれないんだけどさ。社長から、もらっちゃったんだよね」
「はぁ」
「社長からもらったものだから、捨てる訳にもいかないし。…という訳で、もらってくれると嬉しいんだけど」
そう言って、彼は二コリと笑う。
こんな風に、笑顔でごり押しできるところが、彼が一目置かれる存在である理由だ。
…私には到底真似できないし、したくもないが。
「では、ありがたくいただきます」
「ん、ありがとう」
◆ ◇ ◆
「…これが苦いんだ」
彼が立ち去った後、煙草を吸う代わりに、一粒食べてみた。
しかし、私には物足りない苦さ。
「どんだけ、甘党なのよ」
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