2人が本棚に入れています
本棚に追加
それから、週に一度くらいの頻度で、彼がチョコレートをくれるようになった。
彼が抱えた大きな仕事が一つ片付いた頃…。
「澤井さん」
呼び止められて、振り向くと、いつものように四角い箱。
「また?」
うんざりしたようにつぶやくと、彼は目を丸くする。
「またでごめんね。でも、今日のは、いつもと違うブラックチョコだよ?」
「もういい加減に、社長にチョコが嫌いですって言ったらどう?」
チーフとはいえ、年齢が近いこともあって、いつの間にか、敬語は取れていた。
チョコレートをあげる、もらうという関係の中で、それはごく自然に。
彼は、別段それを気にしている様子もない。
「あ、これは社長からじゃないんだよ。海外に行った友人から」
「…へぇ」
最初のコメントを投稿しよう!