苦 v.s 甘

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そして、視線は私に向けながら、チョコレートの箱を開ける。 カサリと彼の長い指が茶色く丸い一粒を取り出す。 それを、優雅に、口に運んだ。 たったそれだけの動作に、目を奪われる。 「────いらないの?」 小さな一粒が運ばれたばかりの唇が言葉を吐き出した。 それから、視線を逸らせなくなる。 「食べたいんでしょ?」 彼の言葉に含まれた艶を感じて、私ははっと後退りしようとした。 ───しかし。
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