時期外れの御歳暮

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私は南條可奈。広告代理店で働くOLだ。 しがない営業事務で、見積もりのチェックや売り上げ管理をしている。 入社一年目の冬、経理の女性社員たちに教えられた。 「南條さん配布用のチョコレート、用意した方がいいよ。『いつもありがとうございます』っていう感謝の気持ちを伝えるいい機会だよ。」 そういわれて深く考えずキットカットのアソートパックを用意した。 ところがどっこい、他の女性社員は小奇麗な包装紙にくるまれた小箱やファンシーな小袋を用意しているではないか。 営業に出かけている男性社員の机の上にかわいらしいプレゼントが並んでいく。 その片隅にそそくさとキットカットを置いていく。 特に驚いたのは部長クラスの机。 平社員達よりもランクの高い箱が並んでいる。 帰ってきた男性社員は早速それらを物色。 「キットカットがそのまんま置いてある。もしかして南條さん?」 「はい…。」 悪目立ちしてしまった。教えてくれた経理さんは百貨店で買ってきたそうだ。 私のリサーチ不足が原因か。
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