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確か俺は、あの箱を一度は開けたものの、まだ一口も食べてはいない。
しかも、生チョコレートだというのに、暖房の効いたオフィスに出しっぱなしにしていたのも、今の俺の現状にはもってこいだ。
あとは……どう、うまくやるか……だ。
俺は、周りに「ちょっと顔が火照るから、少しだけ窓を開けさせてくれ」と一言断り、数センチだけ開けたままにさせてもらうと、シャーッと勢いよくキャスターを滑らせ、椅子ごと自分のデスクへと移動し、茶色の箱へと手を伸ばした。
手前に持ってこようとして、手にかけていた茶色の箱が落ち、中からチョコレートが飛び散った。
落ちていくチョコレートを慌てて掴もうとしてバランスを崩した俺は、ガッシャーンと派手な音をたてて椅子から転げ落ちた。
「うわっ! ヤバッ!」
まるでコントのように、床に落ちたチョコの上に尻もちをついてしまった俺。
ねっちょりとした感触が尻に伝わる。
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