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「嫌、というか……いや、友チョコならまだ良いな」
彼はそういった。
ふーん。いいんだ。
「でも、気持ち的には友チョコだけど、”友だち”ではないから、渡さない、とか言いそうだしな……。もらえないのは辛いな……」
ほんとうによく分かっているのね。
感心している間にも彼は話し続けていた。
「……うん。義理チョコ!義理チョコなんて言われたら……立ち直れない・・・・・・」
なんだか本当にそんなことを言いそうな気がしてきた。
昨日の彼女とのやり取りを思い出しながら、私は考える。
それにしても、彼のこの驚くほど正確な推測はなんなのか。
彼女のことをよく理解しているというか、よく見ているというか……
ああ分かったわ。
いよいよ頭を抱え始めた彼を見ながら、自分の頬が緩んでくるのがわかった。
「……おい。なんでニヤニヤしてるんだよ」
顔を上げた彼が、恨めしそうに言ってくる。
「いいえ。別に。……本当に好きなのね」
先ほど行き着いた結論を彼に投げかけてみる。
「な、んだよ。からかうなって」
こっちは真剣なのに……
そうぶつぶつ言っている
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