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よくわからないけれど、どうやらこれはバレンタインチョコらしい。何かを誤魔化そうとしたりはぐらかそうとする時、いちるはいつもへどもどして意味不明なことを言い出す。嘘が吐けないのだ。
「ありがとう」
お礼を言って受け取ると、それまでそわそわ落ち着かない様子だったいちるは急に大人しくなって、「……うん」と小さく頷いた。
「いちる、途中まで一緒に帰ろ」
「うん」
珍しく素直に頷いて歩き出したいちるの隣に並びながら、三月十四日の彼女のラッキーアイテムがなんなのかをどうやって聞き出そうか、僕は考えていた。
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