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「チョコレート?」
一応確認してみたら、いちるは急にオドオドし始めた。視線をあちこちにさ迷わせながらぼそぼそと答える。
「い、いや、違う。いや中身はチョコレートで間違いないんだが、違う。バレンタインとかは関係なく……」
「え、関係ないの?」
首を傾げる。バレンタインにチョコを渡しておいて「バレンタインは関係ない」ってどういうことだ?
「関係ないならこれ、何のチョコ?」
今度は本心から訊ねたら、いちるはより一層狼狽したふうで「あー」とか「うー」とか呻いたあと、小さな声で呟いた。
「ら……羅針盤座のラッキーアイテムだ」
「らしんばんざ?」
「そう。私が考え出した六十四星座に当てはめるとお前は羅針盤座なのだ」
多いな。
「……そうなの?」
「そうなのだ。だから別にバレンタインとかそんなことは関係なく、たまたまチョコレートがラッキーだった日がバレンタインだっただけで……」
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