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皆何が起きたのか分からないといった表情をしている。今聞こえるのは風の音ぐらいだろうか、そのぐらいもう静寂が闘技場を覆っている。
「あのー、もう動かなくなったので終わりにしてくれませんか?」
我に返った審判が終了の合図をしこの虚しい戦いは終わった。
「和喜お疲れさん。釈放おめでとう」
「おわっ!?いきなり後ろから声かけんじゃねよ!」
「ごめんごめん。でも最高だったよ」
聡は我慢しているようだが目には涙が溜まっている。笑いたきゃ笑えばいいのに。
「まぁこれで釈放されるし晴れて自由ってわけだな本当なら」
「うん。詳しいことは後で話すから場所移そうか」
俺と聡はいまだに静寂な闘技場を出ていった。
取り残された者達は、自分達がいったい何を観戦に来たのか分からなくなっていた。只一人だけ頭を抱えて後悔している人物を除いて。
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