結衣の場合

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「結衣…ゆい!ほら、こんなとこで寝てたら風邪ひくわよ!」 美央が仕事から帰ると、コタツで熟睡する結衣を母が必死に起こしていたが 結衣はピクリとも動かない。 「初日だし気疲れしたんじゃない?」 「美央、、結衣、もしかしてイジメられたんじゃないかしら…」 「結衣はそんなタイプじゃないでしょ(笑)」 「だってあんた…見てよこれ…」 そう言って、母はテーブルの上に広げられたノートを指差した。   ****************************** 山田→巨乳の持ち腐れ 西山→ハゲノッポ 西浦→ハゲメガネ 牧田→デブ1(♂) 鈴木→デブ2(♀) 藤岡→勘違いナルシスト 尾崎→天パの巨漢 村北→ヤクザ顔 三宅→不倫顔 吉沢→ホクロまみれ 浅野→老け顔ゴリラ(♀) 荒井→死んだ魚の目 中西→顔面クレーター スープ煮込んでた女→まさに鶏ガラ ソース煮詰めてた男→醤油顔 鉄板の前→養豚場 ホールと厨房出入りしてた人→地球外生命体 …目の眩むような膨大な名前と悪口が書かれてある。 そういえば キャバクラで働いていた頃にも同じようなノートを見たことがあるような気がしたが その時よりも更に酷い… 更に下のほうに(※デブ率高め)と小学生のような字で書きなぐられた結衣のノートはまるで 何かの漫画に出てきた、死んでほしい人間の名前を書くあのノートのようだった。 「チョコレートあま~い…へへ…」 結衣は幸せそうな顔をして寝言を呟いていた。 【了】
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