第1章

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「お待たせ致しましたぁ」 男性が注文したパンケーキを持ち ウエイトレスが声をかけテーブルへそれを置こうとした瞬間、 ガシャン テーブルの端にあった冷グラスと皿が接触し中の水共々あたしに掛かるように溢れた。 「も! 申し訳ありません!」 ウエイトレスは慌てて おしぼりで濡れたわたしの衣服をふきだした。 あ、 あの、、 だ、大丈夫です。 わたしは、 特に表情を変えることなく謝罪するウエイトレスに声をかける。 「ちょ!ちょっとキミ! 何しちゃってくれてるの! うちの大事な商品なんだよ!分かってる!?」 男性は慌てて立ち上がり 自分の持っていたハンカチでわたしの衣服を拭きながら声を荒げた。 商品って、、、 わたしは 最近ようやく聞きなれてきた その言葉に多少反応し眉を寄せるも 極めて冷静に努め 床に散らばったグラスの破片を拾おうと指を伸ばす。 ッつ、、、 指にチクリと刺激が走り わたしはグラスから指を離した。 指からは鮮やかな血がひとすじ流れていた。 「遥香ちゃん! きみね!損害賠償じゃすまないよ!」 「大変申し訳ありません!」 深々と謝罪するウエイトレスを 顔を真っ赤にして怒鳴る男性。 わたしは見兼ねて こ、 このくらい何ともないですから。 わたしなら大丈夫ですよ。 言葉を落としながら 赤く染まった傷口をスッと口に咥えた 。
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