バビロンの招かねざる客

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その朝、若き侯爵はとても気分が良かった。 朝焼けは鮮やかな紅と黄金色に空を染める。 気の早い小鳥達が囀ずり始め、暁の天空に架かる痩せ細った月だけが、夜の名残を漂わせた。 彼が従者の少年を連れて珍しく朝の散歩に出たのは、そんな細やかな理由からだった。 「欧州と違って西部の空気は野趣に富んでいるな!ヴィクトール?」 「そうですか?僕はもう眠くて。昨夜も遅くまで夜遊びされていたのに、また散歩とは」 ヴィクトールと呼ばれた金髪の10歳程の少年は、青い瞳を擦りながら不満顔だ。 「せっかく長い船旅の果てに新大陸・アメリカに来たのだよ!お前も清々しい空気を楽しみなさい」
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