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「お言葉ですが、欧州を出る羽目になったのも侯爵のお遊びの度が過ぎ……」
「待て!ヴィクトール!」
人がいないのをいい事に、大声で不満を述べていた少年は慌てて口をつぐむ。
主人が見つめる前方に人影が見えたからだ。
牧場から少し離れた小高い丘に一本の大木がある。その根元に確かに黒い人影が見えた。
「この距離では聞かれなかったでしょ?」
「こんな早朝に妙だな」
おずおずと主人を見上げる従者に構わず、侯爵は牧場の門を開け丘へと向かった。
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