第一夜:悩める御曹司

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夏は終わったはずなのに、やけに熱い夜だった。 「この先に今スゴく人気のバーがあるんですって」 隣でニヤニヤと笑う女を見ることもなく俺はへえ、そうなんですかと作り笑いを浮かべていた。      * 「初めまして、藤堂茜です」 見合いの席で初めて見た時、思わずチェンジ! って叫んでやろうかと思った。 のっぺりとした凹凸の少ない日本人的な顔立ちにも関わらず、着物が恐ろしく似合っておらず、よくそんなド派手な赤をチョイスしたなって感心すらした。
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