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(ここは何処だ?)
視線の先に木造の天井が、映り込む。
私は状況を把握するべく、周囲を見渡した。
しかし…見覚えのあるモノは一つとしてない。
(ここは何処だ?)
そんな事を考えた時、ふと妙な違和感を感じる。
そして、その違和感の正体を知るのに、大して時間はかからなかった。
その違和感の正体、それは記憶である。
(私は何者だ…?)
名前は覚えていた。
私の名はカノン・エルレーア。
だが、私の記憶からは自分が何者であったかが、スッポリと抜けていた。
(自分は何者で、何処で何をしていた――? )
私は思い出そうと必死に考えるが、まるで最初から、そんなモノは存在していなかったかの様に、全く記憶探る糸口が見付からない。
(一体ここは何処だ?
そして、私は何者なんだ!?)
そんな精神的苦痛が、私を蝕む。
だが…その直後、不意に声が響く。
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