第5話 滅びを呼ぶ者

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(ここは何処だ?) 視線の先に木造の天井が、映り込む。 私は状況を把握するべく、周囲を見渡した。 しかし…見覚えのあるモノは一つとしてない。 (ここは何処だ?) そんな事を考えた時、ふと妙な違和感を感じる。 そして、その違和感の正体を知るのに、大して時間はかからなかった。 その違和感の正体、それは記憶である。 (私は何者だ…?) 名前は覚えていた。 私の名はカノン・エルレーア。 だが、私の記憶からは自分が何者であったかが、スッポリと抜けていた。 (自分は何者で、何処で何をしていた――? ) 私は思い出そうと必死に考えるが、まるで最初から、そんなモノは存在していなかったかの様に、全く記憶探る糸口が見付からない。 (一体ここは何処だ? そして、私は何者なんだ!?) そんな精神的苦痛が、私を蝕む。 だが…その直後、不意に声が響く。
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