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席に戻れば
「相変わらず、部長は岬さん頼みですねー」
向かいの席から後輩の酒井くんが話し掛けてきた。
「酒井、あんたあたしに喧嘩売ってるの?」
和美が睨む。
「ちょっ、和美先輩の事、一言も言ってないじゃないですかぁ… 」
酒井くんが狼狽する。
「それが喧嘩売ってるって事でしょ!」
……暫く続きそうな二人を放置した。
うん、この二人のコミニケーションはいつもの事だから周りも気にしない…
自分の仕事に取り掛からなければ。
今度は問題無く資料を受け取ることが出来た。
会議資料を部数分用意し、和美と第二会議室にセッティングに行く。
準備を済ませて営業部に戻ればお昼を少し過ぎていた。
「すまんかったなぁ~。 ご苦労さん」
申し訳なさげに頭をポリポリ掻きながら、近づくのは小田部長。
朝のお詫びにと、ちょっとお高い仕出屋のお弁当が机に置かれた。
厳つい顔にがっちり体型、少しおデコが後退しだした小田部長。
女性陣には威張り散らす事もなく、見た目と違いポワポワした感じのお父さん。
反面男性陣には見た目通りの容赦無い、鬼部長だ。
『わぁ~、ごちそうになります』
和美と声がハモる。
お弁当を前にクスッと微笑んだ。
「じゃ、僕達もお昼に行ってくるね」
顔を綻ばせながら小田部長は篠田課長を連れて営業部を出て行った。
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