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「よし!引っ越そう!」
私は昔へと遡っていた思考を一時中断し、ガバッとベッドから起き上がると、実家から出る決意を呆気なく固める。
兄がニューヨークにいる今、逃げるなら今しかない。
間宮よ、よくぞ知らせてくれた!
私は生まれて初めて幼馴染に感謝をし、早速携帯で物件探しに取り掛かる。
職場から近くて、安くて、オシャレなマンション。
なーい!
だいたいそんな好物件が存在する筈がなかった。
そもそも私の職場は丘台の高級住宅街にあるクリニック。
セレブ御用達の眼科なのだから、その近所は当たり前のようにバカ高い。
仕方なく一駅二駅三駅と遠ざかり、無難な物件をタップする。
そして後は早々と荷造りを開始し、私はこの一週間後、兄に内密に引っ越す事に成功する。
もちろん両親には固く口止めをしたのだけれど。
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