390人が本棚に入れています
本棚に追加
/382ページ
私の転居先が見つけられないのかと、少々秘密の恋人にガッカリしていた。
「そんな事よりも!」
するとポンポンと張り切って私の肩を叩く三木さん。
三木 美樹さんは新婚ホヤホヤのアラサーで、この丘台に住むマダム。
と言ってもまだ新婚だから、この場所に越してきてもホヤホヤだ。
元が一般家庭出身だから、私とも気さくに話してくれる心優しき同僚なのだ。
「今日も来たわ。」
ムフフと意味深な笑顔で三木さんが耳元で囁く。
「はあ…、そうみたいですね。」
私は全く興味を持つ事もなくテンション低めで答えた。
自動ドアを通って真っ直ぐ受付に向かってくる彼。
その彼が今三木さんの急上昇ランキング一位の人物。
「お願いします…。」
静かに診察券を差し出す彼。
私は無言でそれを受け取ると、くるりと背を向けて彼のカルテを探していく。
月村…、
月村…っと、
あった。
.
最初のコメントを投稿しよう!