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「今日も視力検査ですか?」
その合間に三木さんが彼に眼科へ来た理由を尋ねていた。
「…はい。今日もよろしくお願いします…。」
覇気のない声でボソボソと喋る彼は、三ヶ月前から毎日のように眼科へ通ってくる変人だ。
そして毎度視力検査だけをして帰って行く。
変人というと私の大好物には違いないけれど、私がこうも興味を示さない理由は一つしかない。
彼がイケメンだからだ。
もし彼がブツブツのニキビ面で、ブクブクに太っていたとしたら、私は太を思い出して速攻で恋に落ちただろう。
けれど現実はそんなロマンチックにはいかない。
サラサラの黒髪。
切れ長のアーモンドアイ。
薄い唇に高身長。
どれも私のタイプには当てはまらなかった。
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