【1】秘密の恋人

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「ねえ月村さんて何してる人なのかしら?」 「…さあ。」 三木さんは待合室のソファーに座る月村という男性をうっとりしながら見つめ、頬杖を付いている。 「うちの主人もあんなイケメンだったらな…。」 「三木さんの旦那さんは素敵です!」 私はつい我慢ならなくて声高に答えてしまった。 「うふ、ありがとう。 透子ちゃんは優しいのね。主人が聞いたら泣いて喜ぶわ。」 「いえ、お世辞じゃなくて本当に素敵だから…。」 けれどこの手の話は大体伝わらない。 それは三木さんの旦那さんがハゲでチビだからだ。 「多分金持ちのニートですよ。」 だから私はよく知りもしない月村という男性を貶める。 .
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