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「ねえ月村さんて何してる人なのかしら?」
「…さあ。」
三木さんは待合室のソファーに座る月村という男性をうっとりしながら見つめ、頬杖を付いている。
「うちの主人もあんなイケメンだったらな…。」
「三木さんの旦那さんは素敵です!」
私はつい我慢ならなくて声高に答えてしまった。
「うふ、ありがとう。
透子ちゃんは優しいのね。主人が聞いたら泣いて喜ぶわ。」
「いえ、お世辞じゃなくて本当に素敵だから…。」
けれどこの手の話は大体伝わらない。
それは三木さんの旦那さんがハゲでチビだからだ。
「多分金持ちのニートですよ。」
だから私はよく知りもしない月村という男性を貶める。
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