【1】秘密の恋人

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ましてやあの兄の妹なんだからと。 私はいつも自分自身を曝け出せないでいた。 だから秘密の恋人だけが心の拠り所であり、あの手紙があったからこそ今まで頑張ってこれた。 なのにどうして…? こんなにも待ち遠しく思っているのは私だけ? 悲しくて夜も眠れず、プラス兄からのしつこい電話で寝不足が悪化していた。 ハアァァァ…。 私は今日二度目となる見事なため息を披露し、午後6時半過ぎ、この丘台のクリニックを後にした。 クリニックから駅までは徒歩5分程で、私はここから実家とは反対方向へと三駅程進んだ場所に住んでいる。 コンビニで野菜ジュースとおにぎりとお菓子を買って、今日も期待と失望の色を滲ませて自宅郵便受けを覗く。 .
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