【1】秘密の恋人

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うまい棒たこ焼き味に、定番のよっちゃんイカ、ストロベリー味の十円ガムに、コーラ味の笛ラムネ。 私のバッグからはそれらが零れ落ちており、月村さんはなぜか拾いながら僅かに口角を上げていた。 「す、すみません…!」 私は慌てて立ち上がり、彼から無理やりバッグを奪うと、恥ずかしくてついつい俯いてしまう。 自分の好物を赤の他人に知られるというのは、思ったよりも恥ずかしい事だから。 特に私の場合は。 「今日はカエルで済んだみたいだけど…、 次は何があるかわからない。 一日に何度も郵便受けを覗かない方がいい。」 「はい?」 私は月村さんの言葉に少々の違和感を感じ、彼を見つめながら思わず首を傾げる。 「だから…、 一人暮らしの女性は色々危ないから…。」 .
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