【1】秘密の恋人

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ゾクゾクとするような鋭い眼光が前髪の隙間から覗き、私はビクッと震え上がる。 整った顔の人が真剣な顔をすると、こうも怖いものなのか。 兄はいつも穏やかに笑っているから、そんな事にも気付かなかった。 「カエルは知らない…。 それにここを通る度にあんたがそこを覗いてるから…。」 「え…?」 「深夜とかよく見る。」 「じゃあ月村さんはこの近辺に…、住んでらっしゃる…?」 自分の勘違いを指摘されてか、たちまち言葉遣いがおかしくなる。 やはり強気になんかできそうにない。 「そこのマンション。」 すると彼は私のマンションの斜めを指差した。 ゲゲッ!! それを見た瞬間にピクリと眉が勝手に持ち上がる。 そこはこじんまりとした鉄筋コンクリートのマンションで、私はそのお洒落な外観を一目見て気に入り、けれど家賃が高くて断念したいわく付きの場所だったのだ。 .
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