392人が本棚に入れています
本棚に追加
だからイケメンて嫌いよ…。
私は理不尽な理由でイケメン嫌悪が悪化し、ムスッと顔を顰める。
「その顔…、いつもしてる。」
「そんな事ないです!」
イライラしてつっけんどんな態度で否定しつつも、そう言えば彼の前ではいつも兄を思い出して不愉快になっていた。
あー、面倒くさい。
「この度はご迷惑をお掛けしてしまってすみません。でももう大丈夫ですので。」
本当に面倒くさいのは自分であって、彼は親切に助けてくれただけ。
それでも棒読み口調でこの展開を終わりに持っていくのは、早くこの場から立ち去りたいからだ。
私は彼に頭を下げると、身体は早々と自宅へと向きを変えていく。
「あ、待って…!」
けれど彼はそんな私を引き止める。
ガサゴソと自分のカードケースから四角い紙を取り出すと、それを無理やり私の手に押し付ける。
「何かあったら連絡して。」
はい?
.
最初のコメントを投稿しよう!