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この秘密の恋人からの手紙にうっとりとする反面、私は昨日の出来事を思い返して小さくため息を吐いた。
『透子…、』
『ねえ透子…、』
『僕のお嫁さんになって…!』
ウザイ…。
兄からの突然の求婚に、心底寒気がしたのはつい昨日の事。
ド天然の兄は、兄妹で結婚ができない事を多分知らないのではないかと思う。
『は?無理!』
それを戒めたのは親切心ではなく、ただの悪意ある意地悪からで、そうなると必然的に、私は兄が大嫌いだという事になる。
けれど一つ訂正をしておきたい。
私は兄の人間性はむしろどうでもよく、何が嫌かって…、その眩いばかりの容姿が全面的に大嫌いなのだ。
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