【1】秘密の恋人

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太というのはもちろん本名ではなくあだ名だ。 私が付けたのだけれど、全く本名が思い出せないくらいには遠い記憶。 太っていたから太。 丸くてデブだったから太。 子供の頃に安易に付けたあだ名だけれど、太は私の初恋だった。 よく一緒に間宮の駄菓子屋にお菓子を買いに行き、二人で仲良く分け合って食べたのを覚えている。 けれど突然いなくなってしまったんだ。 幼かった私にはその意味がわからず、そしてその代わりと言ってはなんだけれど、私に突然兄ができた。 確かそれは私が小学二年生の時だったと思う。 『初めまして透子ちゃん。』 金髪の、瞳はスカイブルー。 キラキラと微笑む妙に大人びた少年。 それが四宮 樹、私と兄との初対面だった。 .
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