二人きりの馬車の中。

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チョコレートを渡されると思っていたのに、この予想外の展開にヒンニィは驚いてまた顔が赤くなるが、カイはお構いなしに優しく微笑んでいる。 「お腹空いてるんでしょ?ほら、あーんして?」 カイの微笑みの重圧と空腹に耐えかねて、ヒンニィは観念して口を開けてカイの手の中のチョコレートを頬ばろうとする。 カイの指先に触れないように注意を払うが、恥ずかしくて目を閉じてしまっているせいとチョコレートが小さくカイの指とチョコレートを一緒に頬張ってしまった。 ヒンニィの柔らかい唇がカイの骨ばった指先に触れて、ヒンニィは驚いて目を開けると、目の前には口角を引き上げた、どこか嬉しそうな表情のカイの姿が映った。 口の中ではチョコレートが溶けて甘く広がっていく。 カイはヒンニィの唇が触れた指でチョコレートを摘むと、自分でも一粒口に運んだ。 「あ、このチョコレート美味しいね。もっと食べる?」 カイの表情と唇に触れてしまったカイの指先の感触が思い出されてヒンニィは耳まで赤くなってしまい、すぐに返事をする事が出来なかった。
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