第1章 木漏れ日の木の下で

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とりあえず私は、落ちているアイスのフレーバーを確認した後、ちょうど並んでいた人がいなくなった屋台に向かい、落ちていたアイスのフレーバーを店員に注文した。 店員はいつも通りの「はいよ!」という元気な返事をしたあと、アイスの盛り付け作業を始めた。 「なんだ、あの子に買ってあげるのか?」 店員は作業をしながらにこにこと私に尋ねる。私は「えっ」と一瞬驚いたあと、「はい」と答え、小さく頷いた。 「お前らも子供のころよく買ったアイス落としてたよなあ。それで大泣きしててさ。お前らの母ちゃんたちが宥めながらもう一回注文しに来てたんだよな。もう今ではお前らが小さい子を宥める番になったんだなぁ」 店員は、どこか懐かしそうに、どこか嬉しそうにそう言った。このアイスの屋台も随分昔からある。特別店員と親しいわけではなかったが、ずっと通っていたため覚えていてくれたのだろう。 この店員の言葉に、この町の温かさを感じた。 私は「そうですね」と少し照れくさそうに笑う。 その後店員はアイスを盛り付け終え、「ほら、お姉ちゃん。」と言って私にアイスを差し出した。 私は「ありがとう」と言ったあと、未だに蹲っている少女の元へ向かった。 私は少女の目の間に行くと正面に座り、少女に向かってアイスを「はい」と差し出す。 少女は先ほどと同じように体をビクッと震わせたあと、今度はゆっくりと差し出されたアイスを見た。 「・・・」 少女は黙って、今度は私が差し出したアイスを見つめている。 「落としちゃったんでしょ?ほら、あげるよ。今度から気をつけなね」 私はそう付け加える。 すると、少女は今度は私の顔を見る。 長い髪の隙間から、白い肌の顔がのぞく。 とても黒く、大きな瞳だ。小顔で、とても美少女のように見える。 その綺麗な顔を見て、見惚れると同時に、なぜそのような髪をしているのかという謎がより一層深まっていった。 私がそんなことを思っていると、少女がとても微かな声で「・・・・・いいの?」と尋ねてきた。 鈴のように、とても綺麗な声だと思った。 私は「もちろん」と言って、さらにアイスを差し出す手を少女に近づける。 すると少女は、少し躊躇ったあと、そっとアイスに手を伸ばした。 そしてアイスを受け取ると、とても嬉しそうに口角を上げた。 「ありがとう」
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