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マンションに帰ると、誰もいない筈のリビングに灯りがついていた。
ドアを開けると、ソファに座り込んだ同居人の中野浩行が、首だけで振り返る。
「あっれぇ? 早くない?」
驚いた声をあげて、今まで観ていたらしいテレビの電源を切った。
「そっちこそ」
それだけを言って、自室に入る。服を部屋着に着替えてから、リビングへと戻った。
すると浩行が、いそいそと硝子テーブルの上にグラスやシャンパンを並べていっている。
「お前、何やってんの?」
ソファに座りながら不機嫌に言った俺に、浩行は「ん? クリスマスの用意」とキッチンに姿を消した。すぐに戻って来たその手には、ケーキの箱が乗っている。
「じゃなくて、さつきと何やったんだよ」
俺が言うと、「ああ、そっちか」とソファではなく床に座り込んだ。
「いや。さつきがさー、『修もロック大好きなのー。あたし達って相性バツグンなのよねー』とか言いだすモンだから、『修は、クラシックが好きなんだぜ』、と」
そう言いながら、4号だか5号だか知らないが、1ホール丸々のケーキにナイフを突き立てた。
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