ある事を口にした

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「俺は、フラれた事はない」  断言しながら、瓶に付いたままのコルクを浩行へと向ける。 「ちょっ、危ないってッ」  両手で顔を庇う浩行に、「まだ針金も外してないぞ」と笑ってやる。ソファに座って俺がコルクを外すのを眺めていた浩行は、俺がコルクを飛ばさず外した事に感心の声をあげた。 「相変わらず上手いよな、シャンパン開けんの」 「そうだな。今日は零れもしなかった」  そう言って、浩行が差し出したグラスにシャンパンを注いでやる。 「俺は、ポーンって外すのも好きだけど」 「屋外ならな。そうしてやってもいい」  自分のグラスへも注いでから、「ところで、これはどういう事だ?」と浩行に訊いた。 「何が?」 「今日お前デートだったろ。晴美と」 「ああ、俺も別れてきた」 「は?」 「『さつきにあんな言い方するなんてヒドい』だってさ」  自業自得かよ。 「だから、修とクリスマスしようと思って」 「俺が今日帰って来なかったら、どうするつもりだったんだよ」 「明日してた」
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