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グラスを掲げた浩行に、カチンとグラスを当ててやる。満足げに微笑んだ浩行は、シャンパンを咽喉へと流し込んだ。
「うっま~! シャンパンが酒の中で1番美味いよな」
嬉々としてケーキにもフォークを突き立てる。それを見つめながら、俺は呆れた声を発した。
「お前さ。いい加減、俺関係で女と別れるのやめろよ」
これで何度目だ、と溜め息を吐く。
「俺まで巻き込んで」
「それは今回だけだろッ」
俺を指差し突っ込んできた浩行に、「いやマジで」と返した。
「今回みたいなのが続くと俺、欲求不満になってお前を襲うかもよ?」
一瞬キョトンとした浩行が、ケタケタと笑う。
「なんだよ。飲んでもないのに酔っちゃったの?」
そう言って、リモコンを持つとテレビを点けた。
「誰でもよくなるかもしれないだろ」
音楽番組を見始めた浩行に言う。画面から目を外さない浩行は「誰でもいいなら他の奴にしろよ」と手を振って返してきた。
「お前がいいって言ったら。……構わないのかよ?」
低く吐き出された俺の声は、歌に紛れて浩行の耳には届かなかったようだ。
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