ある事を期待した

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 元旦って……というか、正月って、料理したらダメなんじゃなかったっけ? 「黒豆はダメでも、たけのこなら食えるだろ?」  そう言って、今度は湯気の立ち昇る鍋から熱々のたけのこを抓み出してくる。汁が垂れぬようにと手を添え、俺の前に差し出した。 「何それ。何かのお仕置きなの?」  それか、イヤガラセ?   掌に垂れた汁に、「アッチ、アッチ」と自分でも地団駄を踏んでいる。それなのに、「早く早く」と俺に口を開けろと言うのだ。  仕方なく掌を差し出すと、「じゃなくて口!」と叫ぶ。当然のように迫ってくるたけのこに、渋々口を開けた。  容赦なく、熱々の、ホント熱々のたけのこが無造作に突っ込まれる。 「あちッ」  出そうとするのを、「わーッ、吐くな吐くな」と俺の口を掌で塞いだ。 「……お前…」  どうにか噛んで飲み込んでから、俺は恨みがましく浩行を睨み付けた。 「ウマかった?」 「熱かった」 「ウマかった?」 「ベロやけどした」  浩行は笑顔でまだ口を開こうとする。答えなければ延々と続くだろう台詞に、俺は慌てて舌を突き出し返した。
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