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私が『のりたまこ』について切り出したのは、三本目の熱燗をこいつに注いだ時だった。
「ちょっと聞きたいことがあるんだが…」
「なんだよ、確定申告の話か?」
「違うよ。俺もお前もサラリーマンみたいなもんじゃないか」
「はは、だな。そんで?」
私が『のりたまこ』と声に出そうとした瞬間、一瞬、背中の辺りに違和感を感じた。
何か重たいような、冷たいような嫌な感覚。
思わず手元にあった熱燗をぐびっと飲み干して、そいつを振り払った。
「おいおい、どうした?」
「あ…すまん、すまん。あのさ、『のりたまこ』って知ってるか?」
「のりたまこ?なんだよ、それ。……ん?待てよ…?」
少しだけ考え込むようにするこいつの言葉を待つ。
「確か、うちのクラスの女生徒が言ってたな『のりたまこ』やばいって」
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