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「そのお店の近くにいいホテルがあるの。
妹さんがそこに勤めてるそうでいつでもどうぞって言われてる。
朝は直人、車で会社直行してくれていいから。私は電車で帰る。
でも………やっぱり、忙しいよね。
ごめん、いい。
また次の機会にする」
マグカップをころころしながら、テーブルクロスに視線を向けてる貴女は既に諦めてる風だね。
馬鹿だな。
変に気を遣って。
「それなら俺も飲めるね」
顔を上げた花菜の頬が、ますますポポポッとなる。
これは。マジで丸呑みだな。
「ホテルの予約も宜しく」
ニンマリと笑って、さあ仕事だ。食器は遅出のカナさんに任せて、と。
急ごう。
その日までにカタ付けてやる。
今年はチョコレート菓子売上高の記録塗り変えてやるぜ!
今日は靴でいけるな、ブーツは動きにくい。
見送りに出てきたカナさんをさくっと片手で引き寄せてキス一つ。
甘い、ココアの香り。すこおしだけ苦いコーヒーアロマ。
じっと見ないで、その大きな目で。
丸呑みする前に吸い込まれてしまうって。
チョコより甘い俺のSweet Heart。
自分の思考にちょっと照れたから、も一つキスして赤くなってんのごまかしてみたり。
「因みに場所はどこ?」
「あー。えっと………xxx」
「はあ?」
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