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なんだかカナさんが怪しい。
昨日も俺の顔を見て慌てて目を逸らした。なんか見られてる気がして振り向いた途端だ。
絶対なんか隠してる。
一体何を?
問い詰めたって寡黙な彼女が吐かないことは解ってる。
だけど気になる。
………ほら、また。
怪しい。
「直人、疲れたでしょ、もう寝よう」
「うーん、もうちょっと」
それが言いたかったの?
いや、違う。もうすぐ旦那の勘が違うと言ってる。
「じゃ、先寝ていい?」
「うん。お休み」
カナさんには申し訳ないけど今とてつもなく忙しい。
ホントなら会社泊まり込みだって。
実際、去年まではそうだった。
特に今月は色々私用で休んで、同僚達にお願いしなきゃならないことも多かったから、家で出来ることはやっとかないと。
いや、仕事はしてたよ、移動中にも、隙間の時間にも。
しかし、ね。
この時期の菓子業界はハンパないんだ。
だってもうすぐ、バレ、ん?
あれ?なんか……。
もしかしてカナさん。それ?
ありえる。
ムフっ
じゃあ、黙っていよう。
多分、それだ。
「直人、起きて、朝」
「は?へ?」
あ、やっちまった。
出庫数の集計してるうちに、ダイニングテーブルに突っ伏したまま寝ちまったらしい。
うわ、足だるい。
「直人、まだ時間あるから、とりあえずシャワーしてきて」
時計を見れば5時半。カナさんがパタパタと寝室に戻っていく。
「下着、準備しておくから」
「………うん」
言われるままにシャワー。
あー。
外回りしてから出社するかなあ。
直に売り場のハケ具合見ないと店舗報告だけでは不安だ。
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