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こんなこと言うと、暗い人間だと思われるかもしれないけれど、物心ついた頃からずっと、自分という人間が嫌いだった。
周りと比べれば、勉強も運動も決して良くできるほうではなかったし、要領が悪く、しょっちゅう人に叱られてばかり。
だから若い頃、自分の遺伝子は残す必要がないと思ってた。
仲いい友人には、究極の自己否定だよね…とまで言われた。
でも、そんな私でもいいと言ってくれる人と結婚することになり、そしてその相手が、自分よりもずいぶん優秀な頭脳を持ち、顔も見た目も性格にも、惹かれていたりしたので…
いつしか私は、この人の子孫は残したほうがいいよな、なんて考えるようになってた。
その権利は、とりあえず妻という立場の自分にしかないはず。
だとしたら自分が彼のために頑張るしかないよね。ウン。
そうして産まれてきた我が子。
病院のベッドで、小さな温もりを初めて抱きしめた瞬間、私は変わる。
ちょっと大げさかもしれないけど、これは本当のこと。
それまでは、自分が死んだあとなら、世界は滅んでもいいと思ってた。
だけど、この子が将来、ひどい目に遭ったり、悲しい思いをするのは耐えられない。
不幸な天災や人災に見舞われるような人生、絶対におくってほしくない。
地球温暖化とか環境問題について、まじめに考えてみたり。まずゴミはちゃんと分別しなきゃな、と思ったり。
それから、この国が戦争しそうになったら、命はってでも反対しよう。
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