** Prologue **

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『They marry and live happily ever after.』 (結婚して、ずっと幸せに暮らしました) 幼いころ何度も読んだ大好きな絵本の童話、 “シンデレラ”、“白雪姫”、“美女と野獣”…。 キラキラと輝く綺麗なドレスを身に纏い、みんな素敵な王子様と結ばれてハッピーエンド。 いつか私も…と、淡い期待で胸をときめかせていた私の目の前に、突然本物のお姫さまが現れた。 うっとり見つめてしまったお姫さまの正体は、幸せいっぱいに微笑む、歳の離れた従姉妹の花嫁さん。 とても綺麗なキラキラのドレスは、まるで絵本から抜けだしたみたいに美しくて、私の心は一瞬で攫われた。 でも、憧れの童話は「幸せに暮らしました」で締めくくられているけれど、実際の人生はこの先がとても長く、スタートなわけで。 親や兄妹と過ごした時間より、人生の大半をその人と共に過ごす。 少し大人になった私はその最初の一歩の門出を華やかに、ささやかでもお手伝いさせてもらいたい。 携わりたいと思ったのが、この業界に入ったきっかけだった。 「花嫁には、まるで童話のお姫さまのように微笑んで欲しいのです」 「その気持ちを忘れなければ、君は良いウェディングプランナーになるよ」 その言葉は今も胸にあって、辛いとき私の心を支えてくれる。 「“happily ever after”」 幸せの鐘が鳴り響く中、みんなの祝福を受けながら、笑顔で新しい人生の一歩を踏み出した夫婦の背に、 今日も私は、“お幸せに”と言葉を贈り続ける。
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