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「ご熱心ですね」
「ええ、色々めずらしくて。次に移動ですね。お待たせしました」
百瀬さんと会話を済ませると、急に二神さんは私を見た。
「恋乃香、疲れてない?」
不意にプレミアム笑顔で優しい気づかいをされて、ドキンと心臓が暴れた。
「大丈夫…疲れてな…」
「そっか。じゃあ行こう」
「わっ」
二神さんは当然のようにすました顔で私の右手を掴んだ。
足早に百瀬さんの横を通り過ぎる。そのままチャペルを出て行こうとした。
うわー。これ、…恋人繋ぎ…!
二神さん堂々としてる。でも私はやっぱり、まだ慣れない…!
バージンロードにはまだ白い天使の羽が降り積もったままだった。
私と二神さんは祭壇を背にし、外に出て行く。
出入り口でふと振り向くと、少し舞い上がってしまった天使の羽と、こちらにゆっくり微笑みながら歩いてくる百瀬さんの姿があった。
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